前のエントリでビジネスゲームについて書きましたが、「ずっとシリアスゲームって言ってきたのに、今度はビジネスかよ」という声が聞こえてきそうなので、今のわたしの考えを整理しておこうと思います。
シリアスゲームとは『教育をはじめとする社会の諸領域の問題解決のために利用されるデジタルゲーム』(藤本徹 2007)と定義されています。
一方でビジネスゲームは、『企業経営に関する意思決定のトレーニングのために行われるグループワーク』であると言えるでしょう(参考文献は挙げませんが、大枠は間違っていないと思います)。
ビジネスゲームでは、どれだけ仕入れるとか、販売価格をいくらにするとか、広告をどの程度出すなどの経営上の意思決定をチームで話し合いながら決定します。シートに書き込まれた各チームの数値をインストラクタが取りまとめ、すべてのチームの数値を計算して、その期の各社の市場シェアや売上高、利益などが得られます。何期か連続して行って、最終的に利益や市場シェアの多寡などを参加チームで競います。
現在ではコンピュータ上で計算することが一般的ですが、数値の計算ができればよいので紙ベースでもできます(昔は「集計する間、ちょっと休憩」とか言ってやっていたんじゃないのかなぁ)。
他チームの動向を予想しながらチームで意思決定するという、企業経営のミニ版といった風で、いわゆるエンタテインメントとしての「ゲーム」とはかなり趣が異なります。
シリアスゲームでは、定義に『デジタルゲーム』とあるように、コンピュータの利用が前提になっています。理想は「ゲームで遊びながら社会問題の解決策を探るトレーニングができる、あるいは遊んでいるうちに解決する知識が身につく、解決できてしまう」ではないでしょうか。
また、『社会の諸領域の問題解決』なので対象領域も実に様々で、企業経営に関するものはほんの一部です(この辺りは「社会システム工学」っていう学問上の括りが生まれてきた流れとよく似てるのかなぁなんて思います)。
教育上のツールとしてシリアスゲームを用いる場合、市販あるいは専用に開発されたデジタルゲームを利用することになるのですが、そこでは「ただゲームで遊んだだけ」にならないようなコース設計が必要です。
わたし(と共同研究者の同僚)は、大学での経営学教育において、経営学の知識を定着させるためにシリアスゲームを活用しようと試みているので、ビジネスゲームの分野で培われてきた指導方法を研究して、うまいコース設計をしたいと考えています。
ちょっと書くつもりが、かなり長く時間がかかってしまった(^^;
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